リウマチ外科医の徒然草

リウマチ診療を中心に過ごす外科医の、日々あったこと、考えたこと、まわりの悲喜こもごもをつづります

尺側偏位の完全版取扱説明書(仮)

管理人です。

連休が終わりましたね。5日間の休みは、意外とあっという間で、仕事がたまった割にはあんまり休んでない気がします。。。笑

 

今日は尺側偏位についてです。

 

RAに伴う尺側偏位の原因は枚挙にいとまがないほどあります。

・もともとMP関節は尺側に傾斜して関節面ができている

・橈側側副靭帯は尺側より長く、緩みやすい

・グリップ時には4.5のCM関節は沈下するため横アーチが下がる

 

これらのベースの上にRAの病態が重なります。

・手関節における手根骨の回外と橈側回転で中手部の腱が橈側に向く

・4.5のCMの沈下が顕著になる

・MP関節包が弛緩して基節骨が沈下する

・内在筋腱が炎症と虚血で拘縮する

・手関節中間位でのグリップでは重力で尺側に物の重さのベクトルが向く

・伸筋腱が尺側に脱臼する

 

少なくてもこれくらいはあります。

これらの病態のうち、実際に治療可能なものは限られます。

 

論理的に最も有効なのは、手関節における手根骨アライメントを改善することです。

しかし、症状が指ですので、手関節の手術に同意してくださる方はほとんどいません。

 

外科医は指に対して直接対峙せざるを得ないです。

 

解剖学的要因は直せませんので、実際に治療対象は・・・

 

MP関節の脱臼

伸筋腱の脱臼

内在筋腱の短縮

 

これだけです。

MP関節の脱臼に関しては、基節骨の持ち上げを行うということで、軽度であればWood法、重度となればZancoliの腱固定を追加します。

 

伸筋腱の脱臼には、背側腱膜の縫縮が可能であれば一番です。伸筋腱の半裁腱を使用した制動術も有効です。ただ、これらは支持組織が健在であるときに可能な術式ですので、再発例や高度破壊例ではZancoliの腱固定が適応になります。これは先ほどの脱臼にも有効であり有用な方法です。しかし煩雑なのと、腱の緊張を決めるのがむつかしいという別の問題があります。

 

内在筋腱の短縮に対しては、現在のところ有効な対処方法があまりなく、実際には尺側の腱の切離(切り離す!)がほとんどの症例で行われています。筋腹が小さいので拘縮を起こすと余裕が少ないのでしょう。将来的にはこれを対処する方法を研究しようと思っていますが、現在のところ有効な手段はありません。むしろ高度偏位例では県が短縮しているので、骨短縮をするイメージの術式が選択されることが多いです。

 

文字ばかり書きましたが、教科書代わりになれば幸いです。

アップグレードは適宜行います。

 

#尺側偏位#原因#病態#伸筋腱#内在筋腱#やっぱりリウマチ手はむつかしい

 

ウォーレン氏の売り抜けから思うこと

たぱぞうさんの「バフェット氏がIBM株を売り抜けたことから学ぶこと」を、他の方のブログで紹介されていたので読んでみました。

 

2017年の初めころに、バフェット氏は所有するIBM社の株を1/3程度、約2500万株をおそらく取得時の価格の1.5倍の値段で売り抜けたのだろうという記事です。

 

 

投資について以前少し書きましたが、投資についての理解(ファイナンシャルリテラシー)の量と質が、勝ち負けを大きく左右します

 

投稿の趣旨は、このよう他の大型の売買情報から相対的に自分の銘柄の売り買いを決めるのではなく、自分の資金と精神面とに合致した自分なりのストラテジーをもって挑むべきである。さもないと、売買情報のタイムラグによってやられてしまう

 

誰もが本質的にお金だけを欲しいのではなく、自分の安心安定のために投資を行っていることでしょう。 私も同様です。 将来への備えです。

 

 

さて、このファイナンシャルリテラシーは、どこでどのように身につけたらいいのでしょうか?

 

知識を得る方法は

書物

・講座

・Internet

・実務につく

 

上の三つは、既に誰かが解釈し、発信したものですので、玉石混交というだけでなく、中には釣りのものもあるでしょう。

バフェット氏のように、誰の手垢もついていないところに触れれらる人はどれだけいるのでしょうか?

 

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ここ数年は超長期方針で投資を私は行っています。

逆張りするのであれば、今は待ちなことだけはたしかですね。

 

 

 

パワハラvs.下剋上 世間の構図は400年前と変わらない

お題「楽しみにしているテレビ番組」

 

普段まじめな外科医をしているせいか、世の中の理不尽、いわゆる医療界のパワハラに逢うことがとても多い。一般の企業、特に上場企業でも業務における指揮系統、方針変更などともなうハラスメントは少なからずあると思われるが、企業のトップは通常2,3年交代である。 雨宿りをすれば通り過ぎる。

 

しかし医療業界は、教授というトップが15年程度在位のままという、特異な領域である。末端の一構成員にとっては、どの組に属するかを選ぶことはほぼ人生をかけることであるとっても過言でもない。

 

普段の気持ちを少し軽くしてくれるドラマがある。

www.tbs.co.jp

 

この放送枠は、少し前なら 半沢直樹シリーズ下町ロケットがやっていた枠である。

いわゆる下剋上的な、勧善懲悪的な、悪い上司や不条理を地力に勝る主人公が戦いを挑み、何度やられても、「やられたら、やりかえす。倍返しだ!」なのです。

 

主人公の香坂警部の実力もさることながら、やはり圧巻は小野田 捜査1課長を演じる香川照之の演技力でしょう。

みえみえの三文芝居の嘘をつく場面でも、あふれる演技力で場を飲み込む。掌握する。

ニヒルな表情で、屈折したお家柄と人柄をもつ山田晴彦警部を演じる岡田将生も、悪くはないが、にじみ出る味という点では、歌舞伎俳優とは比べるらくもない。

 

話はそれたが、毎週日曜日を楽しみにしている。

一度ご覧あれ。

ゴールデンウィークの正しい過ごし方

皆さんいかがお過ごしでしょうか。

GWは今年は月曜火曜を休むと9連休になった方もいるのではないでしょうか?

 

連休といっても、人によって過ごし方は異なります。

・思いっきり何もしないでいい日を謳歌する

・子供を連れて実家や遠出をする

・暖かくなったので、衣替えなど家のことをする

雑用がないので、執筆活動にいそしむ

・普段はできないことをする(昼酒とか)

・サービス業なので、逆に休みはない

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私はできれば一番上がいいです。

 

普段頑張っている方は、できるだけ休んで、休日にむしろ疲れないように気を付けてください。

 

私は、昼酒をしてしまいました。下の写真は、アイスの上にクリームをトッピング、その後ベイクしたものです。

イメージはこんな感じでした。

f:id:orthopaedicrheumatologist:20170504133258g:plainおいしいですが、もう体が動きません笑

 

有意義な連休をお過ごしください。

 

#大型連休#昼酒#ベイクドアラスカ#何もしない休み最高#

機能障害は、10%程度の方しか治してもらえなくなる?

日手会@名古屋を切り上げて帰宅の途上の管理人です。

 

リウマチ手の未来について、学会に参加していろいろ考えさせられました。

 

何よりも薬物療法が成熟しました。

先日の投稿の通り、EULAR recommendation 2016が改訂され、新しい患者層に関してはほとんどで抑えが効きます。

www.ncbi.nlm.nih.gov

同僚のリウマチ内科とも話しましたが、整形外科は合併症を治療できないのに、途中まで診ておいてトラブルが起きたら紹介されるのは我慢ならないようです。

 

今後もこの論調は、より強まるでしょう。

むしろ、リウマチは内科の疾患ということが明確になると思われます。

 

Treat to Targetを厳格に順守する(先日Smolenはadhere to T2Tといいました)ことで、未来が開けるといっています。 確かにそうでしょう。

 

非リウマチ医でも診断がある程度可能になり、生物学的製剤もガチの人でなくても容易に使用できる時代になりました。

f:id:orthopaedicrheumatologist:20170501094725j:plain容易に使用できる薬剤の一つ

それでも依然として診断がきちんとつけられ、きちんと治療が行われている患者は70%です。

一方、リウマチの手足の治療がきちんと診断・治療できる医師は、整形外科のうちのおそらく5%以下です。

 

学会では、関節温存に関するセッションがありました。「どこまで関節温存ができるか?」と題されたセッションです。

 

関節温存には、内在筋腱の痙縮の程度、走行、矢状索のゆるみ、関節の脱臼の評価など、枚挙にいとまがないほどの病態像の理解が欠かせません。

 

ましてや、スワンネック変形やボタン穴変形の病態像を正確に理解している人間は、日本整形外科学会会員 約15000人のうち、100人に満たないでしょう。

 

今後リウマチ外科医はどんどん絶滅に向かいます。

高度の機能障害に対する治療を受けられる人は、人口の約0.5%とか、700,000人と言われるリウマチ患者さんのうち、どれれくらいになるでしょうか?

 

 

キーンベック病の最良の治療法は?

管理人はリウマチ手外科を専門としていますので、今の立場では治療を行うことのないキーンベック病です。ただ、私は手外科学会専門医ですので、状況によっては見るようになることもあるかもと思って勉強しました。

 

 手関節内の月状骨(げつじょうこつ)に特有な硬化像や圧壊(あっかい)像を示す骨壊死(こつえし)をキーンベック病、または月状骨軟化症(げつじょうこつなんかしょう)と呼びます。1910年、キーンベックの報告以来、この名前がつきました。
 20代の男性に発症することが多く、また工員、大工、農漁業など手をよく使う人に多く発症します。

 

f:id:orthopaedicrheumatologist:20170429212500j:plain月状骨の低信号域

 

原因は種々言われていますが、どれと言って明確になってきているものはありません。

ただ、静脈のうっ滞が原因となるのではないかというspeculationは固まってきたようです。

 

さて、今回の学会のテーマは、血管柄付き骨移植術は必要か?

でした。尺骨マイナスの症例に多く発症することが多いので、ゴールデンスタンダードは橈骨短縮術です。つまり病因そのものの治療ではありません。

また、血管柄付き骨移植術も壊死なので有効そうに見えますが、直接的な効果は期待できません。

 

北海道の先生は、橈骨短縮のみでほとんどの症例は対処ができ、不可能な症例はもはやsalvageせざるを得ないという論理でした。対する京都の先生は、血管柄付き骨移植は圧壊した月状骨の高さを回復し、手根骨の動きを回復するという論理でした。もちろん橈骨短縮は行ったうえでとのことでした。

 

橈骨短縮術はやはりスタンダードのようです。また、圧壊した月状骨でも骨癒合してさえいればそこそこ機能が保たれるようです。

私もある程度血管柄付きを行いましたが、移植骨が心もとないという印象と、術後の可動域訓練がしにくいのが気になります。

 

会場では、

血管柄付き骨移植の支持はEVENの結果でした。

 

私は橈骨短縮のみを支持します。

やっぱり同じなら侵襲の少ない方がよいかと。

 

#キーンベック病#橈骨短縮骨切り術#血管柄付き骨移植#どっちでもいい#日手会ディベート

医師が留学するために一番大事なこと

第60回日本手外科学会で面白いシンポジウムがありました。

 

「留学のススメ」と題された、若手の先生方の留学経験のセッションでした。

 

半年から最大5年までの期間、アメリカ、ヨーロッパ、台湾などあやゆる有名どころに行かれている先生方の経験で、貴重な意見を聞く機会になりました。

 

どの先生もおっしゃられるのが、

最先端に触れる機会、物事を大局的にみる機会、新しい人間関係を作る機会、しんどかったでもいい経験であったと言ってはりました。失った金銭的な面を上回る今の自分を形づくるほどのメリットがあったとのことです。

また、家族に対しても大きな影響があったとのことです。

 

しかし同時にこう強調してました。

お客さんではなく、本当に真剣に取り組むことで心を開いてスタッフとして扱ってくれるようになる。

何事も、自分の在り方次第ですね。

 

私も、オーストリア留学を控えています。

3ヵ月と非常に短い期間ですけども、自分を変えられる貴重な機会になるのではないかと心がワクワクしています。

無犯罪証明書のことなど、手続きにはいまだに悩まされていますが、それに負けずに精一杯生かせるように頑張りたいと思いました。