リウマチ外科医の徒然草

リウマチ診療を中心に過ごす外科医の、日々あったこと、考えたこと、まわりの悲喜こもごもをつづります

関節リウマチの尺側偏位の術後アライメント矯正の限界点を探る

尺側偏位は以前から書いてきたとおり、

多因子による影響が相互に引っ張り合う難解な病態です。

 

手術による矯正がすべてではない

 尺側偏位の原因の主因となる、

尺側の内在筋腱の切離 により、主な尺側への牽引力は消失します。

しかし、橈側の内在筋腱は健在です。

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適切な骨切りギャップをとり、さらに背側への関節包複合体の矯正ができないと、

あっという間に再発を助長する因子になります。

 

写真のようなダイナミックスプリントは、腱帽縫合部と内在筋腱と牽引、外在筋の滑走訓練を行うために使用しますので、牽引部は基節部にかけないといけません。

 

術後に残る矯正因子

手術により、関節包の縫縮、腱の中央化などを行い、尺側偏位の矯正に努めますが、

まだ道のりとしては半分です。

 

・屈筋腱の尺側偏位からの指の回旋

・伸筋腱中央策の滑走と側索との新たなバランス獲得

・PIP関節よりも拘縮するMP関節の可動域範囲の設定

 

これらのために、数日おきにスプリントの牽引力、牽引時間、方向などを

頻繁に変更する必要があります。

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また、ここまでは伸展の話だけなのですが、

プレフィックス型のAVANTAを用いた場合を除き、

屈曲可動域は60度程度までになります。

 

実は術後2年くらいたつと、多くの患者がPIPJを使用してADL動作を行っていることに気が付きます。

MPJの大きなARCを発揮できるような後療法をしなければいけませんね。

 

もしかしたら屈曲位のダイナミックスプリントも考慮したほうがいいのかな?

この悩みを近日中にトライしようと思います。